2008年11月9日日曜日

60億のシラミ

著者名:飯森広一
タイトル:60億のシラミ 全5巻(完結)
コミックスレーベル:少年チャンピオンコミックス
サイズ:新書版

寸評:掲載誌は月刊少年チャンピオン。「レース鳩0777」と同時連載だったがこちらはSF作品…というかSF的な舞台での群集劇である。
近未来、地球は氷河期に入り、人類はおろか全生物が絶滅の危機に晒されようとしていた。そんな中、地球に生命が誕生した時から争っている2つの勢力の戦いが始まる。一方はこの時代では赤ん坊である大地が見守る108の魔星。もう一方は天空坊が操る12使徒。大地と天空坊は超能力を持っているがそれぞれ魔星や使徒には直接攻撃しないというのがルールらしく、常に傍観者として戦いを見守っている。
 水滸伝をベースにした人物配置が絶妙で、魔星は人数は多いが社会的には無力に近い。一方使徒は人数は少ないが社会的にはかなり権力をもっている者が多い。そして、これが面白いところなのだが魔星と使徒は直接は敵対していない。それどころか時には仲間だったり師弟だったりするのだ。それぞれのキャラは自分の生きたい様に生きているだけなのだが人生の所々で魔星同士、魔星と使徒、使徒同士が関係してくるのだ。
 物語は残念ながら打ち切られたらしく、無理やりまとめた形で終了している。ぜひとも続きを描いてほしい作品である。それと本作は一度も再版されておらず、単行本未収録の番外編も2本ある(前述の地球に生命が~のくだりはこの番外編で詳しく描かれている)ので併せて再販を希望する。

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